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令和の桃源郷
むかし、日向の国の山奥に米良という小さな村があり、
そこに1人の猟師が住んでいました。
ある日、猟師はこれまで来た事のない険しい山に足を踏
み入れてしまい、けもの道を奥へ奥へと進んで行くと、突
然視界が開け明るくなりました。そこは、猟師がこれまで
見たこともない美しい花で覆われた見事な山桜の気が一面
に広がって谷ばた近くの集落まで続き、花びらが風にひら
ひらと舞っています。猟師はその美しさに引き込まれ、集
落がよく見えるところまで下りて行きました。
集落には、畑や田んぼ、そしてきれいな谷川も流れてい
ます。お年寄りが庭に座ってわらぞうりか何かを作ってい
るようです。子どもは、谷川で魚釣りをして本当に楽しそ
うです。「ここは一体どこだろう」
猟師は集落まで下りて行き「ここはどこですか。あなた
たちはだれですか」と尋ねました。すると村人は丁寧な言
葉で「むかし、肥後の国に隈府というところがあり、そこ
に菊池という武将がいました。菊池は各地の戦で大きな手
柄を立てていましたが、ある日領内で争いがあり、武将は
肥後島原に逃れました。幼少の子どもは家臣に連れられ、
遠く日向の国の米良に落ち延びたのです。」
「以来、外の世界とは行き来せずに貧しくとも花に囲ま
れ、子どもたちには武術や礼儀、学問を教え、静かに笑顔
くらしているのです。」
時は流れ、今…。西米良村の菊池一族が暮らした小川の
後には、山城や茅葺の小屋が建ち、春にはたくさんの山菜
が採れ、花が咲き、秋には柿や柚子の実がなり、住んでい
る人はみんな明るく笑顔で元気に暮らしています。
わたしたちは、菊池の精神を大切にし、この小川の里を
『令和の桃源郷』と言っているのです。
と申すカッチン。
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